家のローンは金利だけで選ばない!ローンの種類や選び方
「住宅ローン」と一口に言っても、金利はもちろん、その他の融資条件や手数料の違いなど商品は様々です。ライフスタイルや収入に合った借り方、返し方をするためにも、複数の金融商品を比較して、慎重に選ぶようにしましょう。
どこから借りるのか?
住宅ローンの主な借入先は以下の2通りです。
- 公的ローン
- 勤務先で1年以上財形貯蓄を続け、残高が50万円以上ある人を対象とした「財形住宅融資」が代表的です。自治体が行っている住宅融資や、最近は「融資あっせん」や「利子補給」といった支援制度も一般的になっています。
- 民間ローン
- 銀行、生命保険会社、農協、ノンバンクなど、様々な金融機関が扱うローンで、金融機関や商品により、融資限度額や適用金利、手数料などが異なります。
住宅ローンに関しては、公的ローンに比べ比較的借りやすく、ニーズに合わせて内容が細かく設定されている民間ローンが選ばれるのが一般的と言えます。
フラット35とは?
「フラット35」とは、民間金融機関が公的機関である「住宅金融支援機構」と提携した住宅ローンで、提携先となる機関によって適用金利や手数料が異なります。また、住宅金融支援機構が定める住宅の技術基準を満たしているなど適用条件があり、すべての住宅で利用できるわけではありません。
フラット35の優良住宅取得支援制度である「フラット35S」は、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性などの要件を満たす住宅を取得する場合に、金利の引き下げを受けることができる制度です。
また「フラット50」という商品も存在し、親子2代に渡るローン返済を考慮したものになります。どちらの商品も建築予算の90%までの融資が可能です。
どの金利タイプを選ぶのか?
住宅ローンを選ぶ際、「金利が低いこと」を決め手にする方は少なくありません。確かに金利が低いことは、毎月の返済額が少なくなり、返済総額にも大きな差が出るため、魅力的です。
しかし、金利の低さだけに注目していては、本当に自分たちのライフプランに合った住宅ローンを見付けることはできません。
例えば、「優遇制度」で金利が低かったけれど5年後にはその制度が適用されなくなり返済金額が大幅に増えてしまう、なんてこともありますし、景気の動向によって金利が変動するタイプは、始めは比較的金利が低くてもその後上昇するリスクが出てきます。
目先の金利だけにとらわれるのではなく、借入後の金利はどのように変化していくのか、返済総額はいくらになるのか、その他繰り上げ返済の手数料やシステムに至るまで、住宅ローン全体を把握してから決定するようにしましょう。
金利タイプ①全期間固定金利型
返済期間中の金利が変わらないタイプの住宅ローンです。金利が上下しても安心していられる一方で、他のタイプの住宅ローンに比べると金利はやや高めに設定されているというデメリットもあります。
- こんな人に選ばれています
- 返済額が決まっていることで将来のライフプランが立てやすいため、家を買った後は子供の教育費の貯蓄や老後資金の積み立てなどに集中したいという人
金利タイプ②変動金利型
経済や景気の動向によって金利が変わるタイプの住宅ローンです。比較的金利も低く、5年に1度返済金額を見直します。金利が下がれば返済金額も減りますが、金利が大幅に上昇する危険性もあります。
- こんな人に選ばれています
- 金利が上昇する前に繰り上げ返済などをして、総返済額を抑えて短期間で完済したい人
金利タイプ③固定期間選択型
2年・5年・10年など、決められた期間中は金利が一定で、期間終了時に見直します。固定期間が短いと金利は低く、固定期間が長いと高く設定されます。借入額の一部を全期間固定型にし、一部を変動型にすれば、全部を変動型で借りるのに比べ、金利や返済額が上がる場合のリスクを軽減できます。
- こんな人に選ばれています
- 家庭の収入が上がる時期、教育費のピーク時など支出が増える時期、子供の独立など支出が減る時期など、細かく把握できている人
金利タイプ④上限金利特約型
変動金利型と固定期間選択型の中間で、金利の上限が決められているタイプの住宅ローンです。金利が大幅に上昇する危険性はありませんが、上限金利を設定するため、変動金利より少し高い金利となります。
- こんな人に選ばれています
- できる限り低金利で組みたいが、金利上昇にも備えたいという人
住宅ローンの仕組みと申込み手順
一般的に、住宅ローンの申込みから契約までは、以下の手順で進んでいきます。
- 事前審査
- 希望の金融機関に住宅ローンの相談に行くと、はじめに行われる審査です。窓口となる銀行などの金融機関が、借りる人の返済能力を事前にチェックするために行います。
- 審査内容と期間
-
借入時の年齢や、返済負担率、勤続年数、過去の返済状況など個人信用情報が審査されることになります。
書類を提出してから1~2週間程度で審査結果の連絡があります。
- 必要書類
- 所定の事前審査申込書
- 本人確認書類
- 年収が分かる資料
- 家族の状況が分かる資料
- 勤務先の概要が分かる資料
- 新築の場合は施工業者に関する資料
- 本審査
- 正式に住宅ローンの申し込みを行うに当たり、保証会社が行う審査です。事前審査に通っていることが前提で、また事前審査よりも厳しいチェックが想定されます。
- 審査内容と期間
-
審査内容は事前審査と変わりありませんが、通過基準が厳しくなっています。
書類を提出してから7~10日程度で審査結果の連絡があります。
- 必要書類
- 住民票の写し
- 各種健康保険証
- 年収がわかる資料
- 不動産売買契約書
- 重要事項説明書
- 建物の間取り図
- 実印
- 印鑑証明書
- 個人信用情報とは?
- 個人の借入や返済の情報です。ローン契約時やクレジットカードの作成時に登録が義務付けられており、「日本信用情報機関」「全国銀行個人信用情報センター」などの機関で管理されています。クレジットカードの支払いが遅れたことがあったり、あちこちでお金を借りているという人は要注意です。
住宅ローンは必ず複数の金融機関で審査申し込みを
仮審査に通った人でも、本審査に落ちる確率は意外と高いと言われています。
審査に申込み、融資実行されるまでは、どんなに早くとも1ヶ月はかかってしまいますから、本審査に落ちてしまうとそれまでにかかった時間や手間が全て無駄になってしまいますし、また新しい住宅ローンを選び直すための時間や、もう一度審査に時間がかかるなど、融資を受けられる日がどんどん先延ばしになってしまいます。
そこで、複数の金融機関で同時に審査申し込みをするのがおすすめというわけです。
複数の銀行に審査申込みをすれば、ある一社で審査に落ちてしまっても、もう一度始めから探し直しとなる可能性は低くなり、また本審査に通った金融商品の中からもっとも魅力的なものを選ぶこともできるため効率的です。
複数の銀行に申し込んだからと言って銀行のブラックリストに載ってしまうことはありませんし、申し込みをキャンセルしても費用はかかりません。
ただし審査結果には期限があり、期限内に「申し込む」か「キャンセルする」かを選ばなければならないため注意が必要です。以下に一例をご紹介させていただきますので、ご参考になさってみてください。
- 三菱UFJ銀行
- 本審査の有効期限は270日間
- りそな銀行
- 本審査の有効期限は270日間
- 新生銀行
- 本審査の有効期限は180日間
- 住信SBIネット銀行
- 本審査の有効期限は180日間
- イオン銀行
- 本審査の有効期限は180日間
- 楽天銀行
- 本審査の有効期限は1年間
つなぎ融資とは?
住宅ローンは物件を担保にして契約するため、基本的に物件が完成してからでなければ融資実行ができません。すでに完成している「分譲住宅」や「分譲マンション」は物件購入時に住宅ローンを組むことができますが、契約してから作られる「注文住宅」の場合、物件が完成するまで住宅ローンを組むことができないのです。
しかしながら、物件が完成するまでの間にかかる土地の購入費用や、家を建てるのに必要な着工金、中間金などは、自己資金だけで賄うことが難しい金額です。
そこで必要になるのが、住宅ローンの融資がおりるまでの間に組むことができる「つなぎ融資」というローンです。ここではつなぎ融資の仕組み、金利や手数料、申込みの流れなどご紹介いたします。
つなぎ融資の仕組みと申込みの流れ
つなぎ融資の申し込みは、住宅ローン申し込み時に併せて行います。住宅ローンの審査が通ればつなぎ融資の実行となります。
融資がおりたら、これを家を建てるのに必要な土地購入費や、建築工事費の着工金、中間金の資金源とします。
つなぎ融資の金利と手数料
つなぎ融資の金利は、どの金融機関でもだいたい2~4%程度となっており、通常の住宅ローンを利用するよりもかなり割高です。また、契約の際に支払う必要のある融資事務手数料は、以下に挙げる楽天銀行の「定額型」と、イオン銀行の「定率型」の2パターンがあります。
金融機関名 | 金利 | 融資事務手数料 |
---|---|---|
楽天銀行 | 2.630% | 108,000円 |
イオン銀行 | 2.975% | 借入額×1.08~1.625% |
※金利は2018年11月現在のものです。毎月見直されますのでご注意ください。
一般的に「利息」と「手数料」は、あらかじめ差し引かれて振込まれます。
例えば、土地購入で1,000万円のつなぎ融資を受けた場合、振り込まれるのは利息と手数料を差し引かれた約987万円ほどになり、差額は自己資金で用意しなければならないので要注意です。
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