住宅ローン借入可能額の算出方法について詳しく解説しています。

  1. 住宅ローン借入可能額の算出方法

年収から住宅ローン借入可能額を算出してみよう

年収や月々の返済額から住宅ローン借入可能額を算出する計算式や、今の家賃から借入額を概算する方法などを掲載しています。他にも、余裕を持った返済額を割り出すための「返済比率」についてや、「ボーナス併用払い」のメリット・デメリット、「頭金」の必要性などについても解説いたします。

まず知っておきたい住宅ローンの「返済比率」

多くの人にとって「家」は最初で最後となる大きな買い物ですから、金融機関で住宅ローンを利用することになると思います。施工会社で見積もりを見て、「こんなに借りられるのかな…」と不安になっていたら、意外とあっさり「大丈夫ですよ、審査通ります!」なんていう金融機関の担当者。でも、そのまま借りたら後々大変なことになるかもしれません。

まず知っておきたい住宅ローンの「返済比率」

「返済比率」というものをご存知でしょうか。これは、「年収に占める年間返済額の割合」のこと。多くの金融機関は返済比率の上限を30~35%に設定しています。仮に上限の35%で借りた場合の限度額を年収別に一覧にしたものが以下の表です。

返済比率35%での借り入れ可能限度額概算一覧

年収
(月収)
借入可能額 月々の返済額 総返済額
400万円
(33.3万円)
3,999万円 11.7万円 4,900万円
500万円
(41.6万円)
4,999万円 14.6万円 6,125万円
600万円
(50.0万円)
5,999万円 17.5万円 7,350万円
700万円
(58.3万円)
6,999万円 20.5万円 8,575万円
800万円
(66.6万円)
7,999万円 23.4万円 9,800万円

※年収は保険・税金が引かれる前で、手取りではありません。月収は年収÷12です。金利は1.2%の35年固定。ボーナス期の返済増額は検討していません。年収900万円以上は借入金額が8,000万円を超えるため割愛しました。

この年収は額面ですから、保険や年金、税金などが引かれて実際の手取り年収はもっと減ります。年収600万円だとしたら、だいたい手取りの月収は40万円前後でしょうか。ここから月々の返済額の17.5万円が引かれて、22.5万円。ここから水道光熱費や食費、子供の教育費などを捻出することになります。修繕用の積立貯金や自分たちの老後の貯金もする必要があります。意外とキツイと思いませんか?住宅ローン借入可能額の上限まで借りるのは、極めて危険な行為なのです。

【年収別早見表】無理なく返せる額はどのくらい?

無理なく返せる額はどのくらい?

では、無理なく返済できる借入額とはどれくらいなのでしょうか。一般的に、無理のない返済比率は20%程度とされています。そこで、今度は返済比率を20%に設定した場合の限度額を年収別に一覧にしました。

返済比率20%での借り入れ可能限度額概算一覧

年収
(月収)
借入可能額 月々の返済額 総返済額
400万円
(33.3万円)
2,285万円 6.7万円 2,800万円
500万円
(41.6万円)
2,856万円 8.4万円 3,500万円
600万円
(50.0万円)
3,428万円 10.0万円 4,200万円
700万円
(58.3万円)
3,999万円 11.7万円 4,900万円
800万円
(66.6万円)
4,570万円 13.4万円 5,600万円

※年収は保険・税金が引かれる前で、手取りではありません。月収は年収÷12です。金利は1.2%の35年固定。ボーナス期の返済増額は検討していません。

「35%よりもだいぶ減るな…」と思いませんか?これが、無理のない、日々の生活も楽しむことができる借入可能額なんです。お金をたくさんかければより理想に近い家づくりはできると思いますが、建てた後に住宅ローンが払いきれずに家を手放すなんてことになったら悲しいですよね。家づくりにかけられる金額の上限を自分の中でしっかり把握したうえで、施工会社と打ち合わせすることが大切なんです。

現在の家賃から「借入可能額」を計算する

現在の家賃から「借入可能額」を計算する

年収からではなく、現在の家賃から「借入可能額」を計算することもできます。それが下記の表になります。

現在の家賃から計算した借り入れ可能限度額概算一覧

現在の家賃 毎月返済額
現在の家賃±0
毎月返済額
現在の家賃-2万円
毎月返済額
現在の家賃+2万円
7万円 2,400万円 1,710万円 3,080万円
8万円 2,740万円 2,060万円 3,430万円
9万円 3,080万円 2,400万円 3,770万円
10万円 3,430万円 2,740万円 4,110万円
11万円 3,770万円 3,080万円 4,460万円
12万円 4,110万円 3,430万円 4,800万円
13万円 4,460万円 3,770万円 5,140万円
14万円 4,800万円 4,110万円 5,490万円
15万円 5,140万円 4,460万円 5,830万円

※金利は1.2%の35年固定。ボーナス期の返済増額は検討していません。

私自身は家づくりをする際、この表の金額に頭金用貯蓄などを加えて参考にしました。年収などにより必ずしも借りられるわけではありませんが、いま支払いができている家賃と同額ですから、一番無理がないと考えています。理想の家を建てることもとても大事ですが、住んでからの生活も大切ですよね。年収からでも家賃からでも、自分に無理のない返済になるよう検討する目安にしてください。

安心して返済できる返済期間を検討しよう

安心して返済できる返済期間を検討しよう

もっとも一般的な金利プランのひとつである「35年間固定金利1.2%」を想定し、様々な角度から借入可能額を算出してきましたが、ローン申し込み時の年齢が30歳を超える人は、定年退職までに返済がきちんと終わるよう、「返済期間」についても考慮しなければなりません。

定年退職が65歳でも、60歳以降の収入が60歳時点より減る可能性があるなら、60歳から返済開始時の年齢を差し引いて返済期間を割り出す方がより安心です。

先ほど、年収600万円の人が返済比率20%上限の「3,428万円」の35年ローンを組んだ場合、月々の返済額は10.0万円と算出されましたが、返済期間を35年から30年に縮めると月の返済は11.3万円に、25年に縮めると13.2万円になります。

同じ金額を借り入れるなら、返済期間が短いほど月返済額は大きく、長いほど小さくなるのは当然のことですが、これによる「総返済額」への影響はどれ程のものでしょうか。

返済期間別に見る3,428万円ローンの月返済額と総返済額

返済期間 月々の返済額 総返済額
35年 10.0万円 4,200万円
30年 11.3万円 4,083万円
25年 13.2万円 4,046万円
20年 16.0万円 3,857万円
15年 20.8万円 3,747万円

例えば返済期間を10年短くすると、月3万円程の負担増、総返済額は約150万円減という結果になりました。毎月の支出額は増えるものの、「総支払利息が少なくなる」「完済までの期間が短くなる」というふたつのメリットを得ることができると言えます。

住宅ローンの返済期間は最長35年とする金融商品が多い中、実際にローンを組んでいる人の平均返済期間は「25.6年」というデータもあり(2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査)、また「住宅金融支援機構」によれば、35年以上の返済期間でローンを組む人は全体の約13%という統計も出ています。最長35年だからと言って、必ずしも35年で組むばかりではないということが伺えますね。

返済期間別に見るローンの月返済額

住宅ローンの平均返済期間が短くなる傾向の背景にあるのは、利息削減効果を狙っての返済計画はもちろん、近年の晩婚化、晩産化に伴って、住宅取得者の平均年齢が上がっているという現実です。

40代で初婚という人も珍しくない今日、家を建てるのはまだ先だけど、今の年齢から無理のない月返済額で住宅ローンを組んだ場合、総額いくらまで借り入れられるのか、というのは気になるところですよね。

年収600万円の人にとって無理のない月返済額である10.0万円を基準に、借入可能額を返済期間別にまとめてみました。

返済期間別に見る月返済10.0万円での借入可能額

返済期間 借入可能額 総返済額
35年 3,428万円 4,200万円
30年 2,647万円 3,176万円
25年 2,307万円 2,768万円
20年 1,935万円 2,322万円
15年 1,525万円 1,830万円

※金利は1.2%。年収は600万円。ボーナス期の返済増額は検討していません。

ここで求められた数字はあくまでも目安であって、〇〇歳だからこの金額しか借りられないということでは決してありません。

例えば「子供たちの教育費の負担が終了した後は定年まで繰上返済を多くできる」というような場合には、70歳まで支払いが続く計算で組んだローンを、60歳までに完済してしまうということも難しくありません。

返済期間が長いからいい、短いからいいという判断基準では決してなく、各家庭に合った返済計画を立てることが最重要なのです。

ボーナス併用払いのメリットとデメリット

ボーナス併用払いのメリットとデメリット

ボーナス併用払いとは、借入金を「毎月返済分」と「ボーナス返済分」に分けて、2本のローンを並行して返済していくプランを指します。賞与が支給される月のみ返済額を増やす、というような、クレジットカードなどにあるボーナス払いとは全くの別物なので注意が必要です。

例えば3,000万円の借入金の内、2,300万円を毎月返済分、700万円をボーナス返済分に分けたとすると、毎月返済分の2,300万円は12ヶ月×35年で420回払い、ボーナス返済分の700万円は年2回×35年で70回払いとなり、ボーナス月のみ約10万円の返済が毎月の返済に加わるイメージです。

1月~5月
毎月返済分5万円の返済
6月(ボーナス月)
毎月返済分+ボーナス返済分=15万円の返済
7月~11月
毎月返済分5万円の返済
12月(ボーナス月)
毎月返済分+ボーナス返済分=15万円の返済

※数字は例であり、金利などは計上されていません。

ボーナス併用払いのメリット毎月の返済額を減らせる

ボーナス併用払いを利用するメリットは、毎月の返済額を抑えられる点です。ボーナス分にいくら割り当てるかにより、毎月の返済額がどれだけ減らせるのかを表にまとめました。

ボーナス返済分 毎月の返済 ボーナス月の返済 ボーナス月の総支出
0円 11.8万円 0円 11.8万円
100万円 11.4万円 2.0万円 13.4万円
200万円 11.1万円 4.0万円 15.1万円
300万円 10.8万円 6.0万円 16.8万円
400万円 10.4万円 8.1万円 18.5万円
500万円 10.1万円 10.1万円 20.2万円
600万円 9.8万円 12.1万円 21.9万円
700万円 9.4万円 14.2万円 23.6万円
800万円 9.1万円 16.2万円 25.3万円
900万円 8.7万円 18.2万円 26.9万円

※金利は1.2%。借入金は3,000万円で算出しています。

ボーナス併用払いを利用する際の注意点は、ボーナス返済分に充てる割合を大きくし過ぎないことです。

家電や車、旅行など、今までボーナスで支払っていたものに加え、住宅購入によって新たにかかる固定資産税や修繕費などの積み立ても必要になりますから、そうした必要経費はあらかじめ予算取りをしておくことをおすすめします。

万が一、ボーナス返済をギリギリまで多めにしないと毎月の返済額が厳しいという場合は、そもそもの借入額が多過ぎる可能性が高いので、今一度見直してみましょう。

ボーナス併用払いのデメリット返済が滞ってしまうリスクがある

ボーナス併用払いのメリットとデメリット

ボーナスは景気や業績の影響を受けやすく、支給額は必ずしも一定ではありません。毎年2回支給されるとは限りませんし、業績が悪い年には支給されないことも有り得ます。

住宅ローンは返済の期間が、20年30年またはそれ以上と長期に渡るものですから、その期間中に景気動向や大幅に悪化したり、止むを得ない事情で転職をすることや、独立を考えることもあるかも知れません。

支払われると思っていたボーナスが何らかの事情で支給されなかったとき、あまりにもボーナス返済に頼り過ぎた返済計画を立てていては、返済が滞ってしまう危険性があります。

こうしたリスクを回避するには、そもそもボーナス併用払いに頼らなくともやり繰りできる借入額にすることが肝心です。

頭金は絶対に必要?

頭金とは、物件の代金の一部を支払う「現金」のことを指します。一昔前には「頭金は物件価格の2割が目安」というのが定説でしたが、最近は「頭金なしでも借りられる」という金融商品が増えてきたために、マイホーム購入の際に頭金をあまり用意せず、ほぼ全額を住宅ローンで賄うという人も増えています。

リクルート住まいカンパニー」の調査によれば、頭金を用意せずに住宅を購入した世帯と、一部は頭金で払ったもののその比率が1割に満たなかった世帯とを合わせると、全体の約35%に達します。

マイホーム購入の際には、「最低半年分の生活費を貯蓄として残しておくべき」と言及するアドバイザーもおり、無理に貯蓄を切り崩してまで頭金を用意するのはかえって危険という考え方も間違いではありません。

頭金は絶対に必要?

しかし、頭金を準備することで得られるメリットはたくさんあります。

頭金があるとなぜいいのか?
  1. 総利息負担額を抑えられる
  2. ローン金利を優遇してもらえる
  3. 将来の売却や借り換えへの影響

頭金があるとなぜいいのか①総利息負担額を抑えられる

総利息負担額を抑えられる

融資を受けずに一括で支払えば当然「利息」は発生しませんが、頭金を多くして借入額を少なくすることで利息負担を軽減することができる、と言うのも同じ理屈です。

例えば3,500万円の物件を購入する際、頭金を準備することで総支払額はどのくらい変わるのでしょうか。

頭金 借入額 総返済額 総支出額
0円 3,500万円 4,236万円 4,236万円
1割
(350万円)
3,150万円 3,813万円 4,163万円
2割
(700万円)
2,800万円 3,389万円 4,089万円

※金利は1.2%。ボーナス期の返済増額は検討していません。

頭金を2割準備することで、約150万円の利息負担減という結果になりました。

頭金があるとなぜいいのか②ローン金利を優遇してもらえる

ローン金利を優遇してもらえる

頭金を用意できている人は、そうでない人に比べ、「しっかり貯蓄できる人」と判断され、金融機関の審査に通りやすいと言われています。

また、住宅ローンの条件面でも優位になる場合があり、例えば各金融機関が住宅金融支援機構と提携する「フラット35」では、頭金が1割に満たないと金利が0.4%ほど高くなっています。

この他、みずほ銀行や三井住友銀行では頭金2割以上のケースを対象に金利を引き下げる仕組みがあるなど、金融商品の優遇を受けやすいと言えます。

頭金があるとなぜいいのか③将来の売却や借り換えへの影響

将来の売却や借り換えへの影響

前述した「頭金は物件価格の2割が目安」という定説の「2割」という数字ですが、これは「担保割れ」を起こす可能性が低い最低ラインを表しています。

「担保割れ」とは、例えば住宅購入にかかる総支払額が3,500万円である場合、そのうち2割の700万円は、不動産業者のコストや利益に当たります。このため、購入後すぐに売却したとしても、この2割を差し引いた8割程度の価格でしか売れません。

もし、全額住宅ローンで賄って購入した場合、売却して得たお金ではローンを支払い切れず、新たに借金を抱えることになってしまいます。こうした状況を防ぐためにも、「2割の頭金があると安心」というわけです。

とは言え、「頭金を貯めるのに10年かけている間に購入時期を逃してしまう」「購入後の資金を確保しておきたい」と考える人は多く、「頭金ゼロ」商品の需要は、今後ますます高まることが予想されています。

購入時にまとまった資金を用意するのがどうしても難しいという場合には、将来の繰り上げ返済の計画をきちんと立てておくとよいでしょう。

「頭金」だけが重要なわけではなく、大切なのは現在の貯蓄や今後の収入見込みとの兼ね合いです。毎月無理なく返せる金額を見積もり、身の丈にあった借入額に収められるよう、プランを練りましょう。

こちらもあわせてご覧ください
家のローンは金利だけで選ばない!ローンの種類や選び方

宮城でおすすめの注文住宅会社

ページのトップへ