注文住宅と建売住宅の違い
住宅を購入するためには、注文住宅と建売住宅を購入する2つの方法があります。求める価格や土地、品質で選び方が変わってくるため、それぞれのメリットデメリット踏まえてご紹介していきます。
注文住宅と建売住宅の違い
戸建て住宅を購入するには、主に注文住宅と建売住宅の2つの方法があります。まずはそれぞれの違いを見ていきましょう。
注文住宅とは?
注文住宅とは、設計事務所や工務店、ハウスメーカーなどに設計や工事を依頼して建てる住宅です。間取りや設備などを自由に決めて、自分の希望通りの家をいちから作ることができるメリットがあります。
注文住宅では既に持っている土地に建てる場合と、土地を探して購入するところから始める場合があります。
土地探しから始める場合は、自分で不動産屋を利用して土地を見て回るか、建築士やハウスメーカーにサポートしてもらいながら土地を決めていきます。そして、ハウスメーカーや工務店に住宅の設計と施工をまとめて頼むか、設計事務所などに設計を、工務店に施工を頼みます。
土地によって建築条件なしと建築条件付きがあり、建築条件付き土地の場合、売主の決めた業者に設計や施工をしてもらいます。
建売住宅とは?
建売住宅とは、土地と建物がセットになっている新築分譲住宅です。既に完成している住宅を実際に見て購入できる場合と、設計プランが決まっていて建設途中の段階で販売している場合があります。
大きな土地をいくつかの区画に分割して、同じような規格の家を建てることが多いです。数棟程度の小規模な分譲住宅地から、100棟単位の大規模分譲地まであります。間取りや設備が決まっているので家作りの時間や手間がかかりませんが、自由度は低いです。
土地から選ぶなら注文住宅
戸建住宅を購入するとき、土地選びは大変重要です。建売住宅ではそのとき売りに出ている物件しか購入できないので、土地探しから始める注文住宅の方が土地選びの自由度が高いといえます。
土地探しのポイント
土地を選ぶときには、その土地の広さや形、日当たりだけなく、周辺環境も合わせてチェックしましょう。
最寄り駅までの距離やアクセスはとても重要です。良い土地が見つかったら、できれば実際にその土地から最寄り駅まで歩いてみましょう。途中に何もないよりも、スーパーやコンビニが充実している方が便利です。駅までバスなどを利用するなら、その本数や終バスの時間なども確認します。
自家用車での移動が中心となる地域の場合、幹線道路へのアクセスのしやすさや敷地への進入のしやすさなどを確認しておきます。接地している道路の幅が狭かったり交通量が多かったりすると、駐車するときにストレスになる可能性があります。
価格について
一般的に注文住宅より建売住宅の方が割安というイメージがあるかもしれません。たしかに建売住宅では、数十〜数百棟の家をまとめて建てることで、材料などのコストを抑えることが可能です。また、販売価格がはっきりしているので、予算がオーバーしにくいというメリットもあります。
一方、注文住宅は自分の希望に合わせてコストを下げることも、グレードを上げてコストをかけることもできます。例えば、建物の形をシンプルにして材料や工事の手間を減らしたり、内装材を統一させたりすることでコストを下げることができます。水回りなどの設備も、施工会社が安く手に入れられるものを使用する、既製品に一手間DIYを加えて工夫するなどで安く抑えることが可能です。自由度が高いので、お金をかけるところにはかけて節約するところは節約する、とメリハリを持って設計することができます。
自分の生活に合わせてあらかじめ作り付けの棚などを設置しておくことで、家具を購入するお金がかからないので結果的にコストが抑えられることもあります。
注文住宅で注意しておきたいのは、予想外の工事費がかからないようにするということです。例えば、敷地と道路に高低差があったり、工事に使う車を駐車する場所がなかったりするとプラスで費用がかかってしまいます。車を駐車する場所があるか、敷地まで問題なく進入できる道路幅があるかなどはチェックしておきたいものです。
土地探しの段階から建築士などに相談しておくと安心です。
品質の違いは?
建売住宅の品質
建売住宅は低コストで建てられるものもありますが、工事の品質が低い場合もあります。なぜなら短い期間でたくさんの住宅を建てることで利益を出すような仕組みになっているからです。工期を短縮すればするほど人件費が抑えられるので、早さが第一で品質は二の次になってしまうというのが実情です。
完成したものを販売している場合は工事の途中段階を見ることもできないため、自分で工程をチェックできないというデメリットもあります。完成したものを購入する場合、壁の中はどうなっているのか見ることができません。手抜き工事をされていて、購入価格が安くても後からメンテナンスにお金がかかってしまったという事例も見られます。
注文住宅の品質
注文住宅の場合は設計してから建築が始まるので、自分で工事の工程をチェックすることができます。材料や工事内容などを細かくチェックできるので安心です。
注文住宅では、家を購入する施主さんと、業者や大工さんとが実際に顔を合わせることになります。顔が見えない人の家を建てるより、直接顔を合わせて会話したことのある施主さんの家を建てることで仕事が丁寧になります。
希望通りの設計がいい
建売住宅の品質
建売住宅と注文住宅の一番大きな違いは、「建売住宅=家に暮らしを合わせる」「注文住宅=暮らしに家を合わせる」というところです。
注文住宅で家を建てるときには「どのような暮らしがしたいのか?」を考えて、建築士といっしょに家づくりをしていきます。あなたと家族の生活、そしてその土地に本当に合った間取りを作製することが可能です。
例えば「ここにこんな電化製品を置きたいのでコンセントを配置したい」「ここにこの家具を置きたい」といったように、実際に置く家具や家電の実寸や使い方を考えて設計できます。建築士の方でも、家が建った後で実際に住んだお客さんの使い勝手などを聞いて経験値を積んでいるため、住む人の立場に立って設計を行っています。
建売住宅では、多くの人に住みやすいような家をと考えられて設計されてはいますが、一人ひとりの生活を考えて設計しているわけではありません。ですから、住んでみると使いづらい部分がでてきてしまうのです。そのためによく見られるのが、変な位置にコンセントがついている、家具がうまい具合に収まらないといった失敗です。コストを下げるためにコンセントの数はできるだけ減らしたいといったような事情もあります。
まとめ
注文住宅と建売住宅にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
注文住宅のメリット
自由度が高く、理想の家を作っていくことができるのが最大のメリットです。間取りはもちろんのこと、壁紙や水回りの設備といった細かい部分まで自分の好みのものを選ぶことができます。予算をかける部分と抑える部分も自分で決めていくことができます。
また、土地選びも通勤や通学、今後のライフスタイルを考えてじっくりと行うことが可能です。自分の生活に合わせたこだわりの家を作りたい場合は注文住宅が適していると言えるでしょう。
注文住宅のデメリット
土地選びや設計に手間がかかってしまうので、入居時期が決まっていて時間が割けないという人には不向きです。
建売住宅のメリット
間取りや設備が決まっていて、場合によっては既に建設された住宅を実際に見ることができます。また、販売価格が決まっているので、予算を立てやすいです。
短期間で購入できるので、手間や時間をかけずに住宅を手に入れたいという人に向いています。
建売住宅のデメリット
建築過程は見ることができないので、工程のチェックは難しいといえます。完成した家を購入するので自由度が低く、こだわりの家を建てたいという人は満足できないかもしれません。
注文住宅にするのか建売住宅にするのかは、予算と合わせて「どのような暮らしをしたいのか」「どのような家が欲しいのか」をよく考えて選んでいきましょう。